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ムで開発が行われ、それがGMDSSで採用されて極軌道衛星利用EPIRBとなった。このようなシステムと同じような技術を使用するシステムとして、アメリカで開発され、フランスに技術移転されたARGOSと呼ばれるシステムがある。このARGOSシステムは、潮流測定用浮標、渡り鳥、極地方の探検家等の位置の測定用に使用されており、運用の周波数も401MHz帯と近い。このシステムのアメリカにおける前身は、データ収集システム(DCS:Data Collection System)、また、多元接続測定システム(RAMS:Randam A?ess Measurement System)と呼ばれ、このシステムの衛星は、地上の多数の送信機からの約1分ごとの約1秒間の送信(その1/3の無変調波の後に、同期符号、局名、データなどの64ビットの変調波)を次々に受信して、その受信周波数と変調データを記憶するとともに、その記憶内容を順次、繰返して地上に送信する、このシステムによってアメリカは、1976年末から翌年にかけてバハマ沖のヨットで模擬遭難の実験に成功している。コスパスサーサットの衛星は、同様の技術内容をもっているとともに、地上の送信機からの信号の直接の中継もすることになっている。従って、地上の送信機の位置に関係なく、衛星上の記憶装置が一杯にならない限り(一杯になると古いデータから消される)全世界のLUTが全世界の遭難のデータを取得でき、また、その船名なども得られ、また、地上の送信機の仕様も新しく規定できるので、その位置の測定に必要な送信周波数の安定度なども必要に応じて規定できる。こうして、406MHz帯を使用したEPIRBとELTに関しての多数の実験が現在も続けられるとともに、システムの運用も始められている。我が国は、システムの当初からの参加はできなかったが、最近の実証実験には積極的に参加をしている。
GMDSSでは、この極軌道衛星利用EPIRBの他に二つのEPIRBを規定している。その一つはVHF(超短波)EPIRBである。このEPIRBは、国際VHFのチャンネル70(156.525MHz)の選択呼出し装置で送信するEPIRBであり、A1海域のみを航行する船舶に極軌道衛星利用EPIRBに代って装備できるものである。A1海域は、VHF海岸局の無線電話の通信範囲内にある政府が定める海域であって、陸からおよそ25海里以内の海域ということになるが、我が国においては、このA1海域のみを航行して国際航海をする船舶は、対韓国などのみの船舶であり、また、全海岸をカバーするVHF海岸局を設置する計画はなく、この海域は設定されないと伝えられているので、このVHFはEPIRBを設置する船舶は考えられていない。
もう一つのEPIRBは、静止軌道衛星利用のEPIRBで、極軌道衛星利用EPIRB

 

 

 

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